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ルナティック・ラヴ 佐緒里の気まぐれ!!!<ラヴトピア別館>

TRANS-GIRL佐緒里がエッチ、フェティッシュ、マニアックな話題でお送りする気まぐれ日記♪

碇シンジ、50年後の新作は・・・

公開前からB級の匂いがぷんぷんしていた迷作「隠し砦の三悪人~THE LAST PRINCESS~」(2008年5月公開)。オリジナル(1958)から50年後の作品がこれじゃあなぁ・・・というのがやっぱり率直な感想。

ストーリーは・・・戦国時代、一獲千金を狙う若者二人が、お家再興を目指すお姫様と侍を助け、敵国が狙う軍資金・黄金100貫と共に敵地から同盟国へ逃亡を図るというもの。

あの『スター・ウォーズ』誕生のきっかけにもなったと言われている黒澤明監督の名作を映画『ローレライ』、『日本沈没』の演出や平成ガメラシリーズの特撮監督、『エヴァンゲリオン』の絵コンテ作成、主人公・碇シンジの名前の由来となったことなどで知られる樋口真嗣監督がリメイク。


※「隠し砦の三悪人」(東宝・樋口真嗣監督/2008)

確かに特撮は冴え渡っているし、テンポもある・・・アクションも満載!!!そんな現代的な映画にはなっている。ハイテンポで今風の編集テクニックが良いという評価もあるけれど、結局、映画はリズム・・・そういう意味ではオリジナルの見事なまでのリズム感とテンポ感には叶うはずも無い・・・

もう10数年前になりますけど、劇場の大スクリーンでオリジナルの「隠し砦の三悪人」を観る機会に恵まれました。その時の感動を私はけして忘れることができません。なんというか、今回のリメイクで欠けているのは多分・・・痛快さ。

私は痛快無比な映画が見たかったなぁ。 この映画は「裏切り御免!」って台詞でスカッとしなきゃ駄目なんだ。

オリジナルには、主人公の一人・真壁六郎太の宿敵・田所兵衛が登場します。この兵衛、侍大将という戦国のサラリーマンとして主君(会社)に尽くすんだけど、六郎太と対決し負けた上に捕り逃がしたことから、主君になじられ罰として額を切られてしまい醜い刀傷が顔に残ってしまう。


※1958公開のオリジナル。宿敵・兵衛に助けられ逃げる六郎太と雪姫。

彼は味方の軍勢の前で人を見る目の無い主君を捨て、自分自身を認めてくれた宿敵・六郎太と六郎太が仕えるお姫様を逃がすため、関所に駐留する一個小隊(?)を前にして大立ち回り・・・そして、六郎太たちを逃がしきると最後っ屁のように「裏切り御免!」の強烈な一言を発して馬にまたがり逃走する。

これがこの映画のキモであり、作品の痛快さに大きく貢献している。
多くの日本のサラリーマンが「裏切り御免!」と言って、兵衛のように生きたいのに現実はそういう風には生きられない。しかし、映画の中で兵衛はそれをやってのけるのだ。この黒澤明監督のオリジナル作品の場合、観客をいかに感情移入させるか・・・そういうストーリーテリング、演出が素晴らしい!!!

今回の樋口監督の「隠し砦~」では、この「裏切り御免!」の名台詞をまったく生かし切れていないと思う。何しろ安っぽいメロドラマみたいな場面でこの偉大な台詞を使ってしまっているんです。
もし興味があれば是非オリジナル版と見比べて欲しいと思います。
映像は確かに「インディ・ジョーンズ」も真っ青だけど・・・その特撮さへ過剰なだけの演出に成り果ててしまっている感がある。樋口監督は、平成ガメラの特撮監督として素晴らしいシーンを作り上げた偉大な特撮マンだけど、黒澤監督のお弟子さんである森谷司郎監督の作品「日本沈没」でも内容的にはリメイクに失敗してますから結局はその二の舞でした(泣)。

特にストーリーが新しく改定された部分・・・松潤と長澤まさみのラブロマンスというアイディアがすべりまくってて、恋愛がまったく描けていない点も痛い。そう、すべてが上辺だけで構成されていて薄っぺらなの。とにもかくにも、オリジナルの面白さが全くといって良いほど生かされていないのが耐えられないところ。

そんな訳で「スターウォーズ」のR2D2、C3POの元となった百姓の凸凹コンビも大崩壊。オリジナル版の藤原鎌足、千秋実の欲ボケ加減は素晴らしかったですから・・・食うに困って米俵を民家から盗んだり、金のために浅はかな知恵をめぐらす小悪党ぶりは絶品でした。
こういう弱者の弱さと強かさを存分に役者に演じさせて、庶民の目線を描くのが実に上手かった黒澤作品が、今回ただの超B級映画になってしまった責任はやっぱり監督さんにありますね・・・(汗)。

でも、一人・・・素晴らしい役者が誕生しました。芸人の宮川大輔さんです。
このキャスティングは絶妙。彼が演じる木こりの頑張りようはサプライズでした。宮川さん、はじけまくってるよ。結構やるじゃん♪ この作品の中で一番面白い!!!
あ!そういえばもう一人、高島政宏さん演じるホモ侍もはじけてました。こんなホモ親父、最近見た事ね~~よ(笑)。

キャラクターをすべてステレオタイプにしているのは、演出側の狙いなのだけれど・・・けしてすべてのキャラクターが魅力的なものに煮詰まっていた訳ではありませんでした。
長澤まさみのツンデレ姫と山の民・松潤の身分の違いを超えたロマンスはまるで里見八犬伝の薬師丸ひろ子と真田広之みたいだったし。隠し砦の三悪人っていうより八犬伝のリメイクっていう方が正しい。

ある意味、長澤まさみのプロモーション映画って思えば、まさみちゃんファンにとってはオイシイ作品かもしれないです(笑)。

最後に、この映画を観て思ったことは・・・それでも、名作映画は時代に求められる限り、各時代の観客の要求に沿ったリメイクはしていくべきだということです。名作だけに危険は多いけれど、今回の樋口監督のように挑戦することは大切です。それにいくら名作であっても時間がたてば過去の遺物となってしまいます。素晴らしい作品に改めて現代的解釈という光を当てる勇気と努力を映画作家の皆さんにはお願いしたいと思います。


※隠し砦の三悪人に興味をお持ちの方はコチラをクリック。
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  1. 2008/05/14(水) 14:34:02|
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佐緒里

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